【全国アマモサミット2015:前編】シンポジウム

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「全国アマモサミット2015」熊本県の八代市で開催!

全国アマモサミット2015 in くまもと・やつしろ 」が、10月2日(金)〜4日(日)に熊本県で開催された。
この会議は、「アマモ」と「アマモ場」をキーワードとして、海の自然再生・保全を目指して2008年にスタートし、今年で8回目だ。全国各地の海とその沿岸地域が“抱える課題”をテーマに、市民、高校生、地域団体、行政、研究機関など職業や立場、世代が異なる様々な分野の方々の活動紹介と意見交換が実施される貴重な機会である。

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10月3日(土)に実施されたシンポジウムでは、「八代海・有明海の再生をめざして〜美しい自然環境に囲まれ、災害につよく、元気でいきいきとした沿岸地域づくり〜」をテーマに、「海の再生に向けた知恵」について各地域の実践者が共有し、ディスカッションが行われた。

環境省自然環境局自然環境計画課の岡野隆宏氏は、「干潟や湿原を保全することで得られる様々な恵み(生態系サービス)を持続的に利用することで、防災や減災の機能も果たす。例えば、海岸林が津波を削減したり、サンゴ礁が高潮被害を防ぐ。干潟や湿原の経済価値は年間6,000億円と試算される。今後いかに活用していくかが課題だ。」と生態系を活用した防災や減災について語った。

また、里山資本主義のNHK取材班が「里海」に着目した本「里海資本論」の中で取り上げられている、岡山県備前市にある「日生(ひなせ)」の漁業協同組合・専務理事の天倉辰巳氏は、わずかなアマモを再生しようと30年前に活動の一歩を踏み出したという。

「漁師を中心に30年前にはじめたアマモ場再生活動ですが、平成24年には、岡山県・日生漁業協同組合・NPO法人里海づくり研究会議と瀬戸内海の環境保全を推進するおかやまコープで4者協定も締結し、順調に地域の連携も広がり、アマモ場が回復しています。」
「贅沢なことに、アマモの『流れ藻』が舟の邪魔になり、地元の中学校と一緒に『流れ藻』回収大作戦を実施しているほどです。」
世界のSATOUMI(里海)として、現在注目の地域のひとつだ。

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熊本大学名誉教授で本サミットの実行委員長である滝川清氏は、
「八代海・有明海は、閉鎖性の高い地域であり、そのため、陸上からの影響を受けやすい。
海より川からの影響が5倍以上で、陸上からの環境汚染が進行しやすいため、赤潮の多発や海底のヘドロ化などにより、漁獲量が低下し、四季を通じて赤潮が発生してきた。長い間『掃き溜め』として負荷をかけてきていた。
今後は、環境の課題と防災の課題がマッチした内容で対応することが必要だ。」と八代海・有明海の現状と課題を語った。

全国の行政や漁業者、NPOなど多様な関係者から各地の事例が共有され、参加者が情報交換できる貴重な機会になった。

今後の課題は、「一般の市民にも自分ごととして感じてもらうにはどうしたらよいか?」
「 研究だけで終わらず、実践していく体制が必要だ。」などである。
人任せにせず、それぞれができることを地域で実践していく「やる気」と「実行力」が必要だ。

最後に、今回のシンポジウムのまとめともいえる「熊本宣言」を共有したい。

熊本宣言

熊本宣言 提言

・八代海、有明海に興味を持ってもらうこと
・山から海までを対象として、豊かな八代海、有明海の再生に向けて、漁業者、市民、企業、教育、行政等関係者間の連携体制の強化を図ること
・やるべきことをやりたい人が実行できるよう、様々な立場の関係者が情報を共有し、意見を交換する場の設置に向けて取組むこと
・森川里海をつなぎ、大きな目標を掲げ、モニタリングや評価検証しながら効果的な実施(順応的な実施)を行うため、目指すべき姿の検討に取組むとともに、環境保全と防災の両方など新たな考え方についての十分な啓発・情報共有を行うこと
・それぞれの立場に応じて、当事者として各関係者とともに、八代海、有明海の恵みを享受する誰もが主体的に八代海・有明海の再生に取り組む活動を展開すること

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10月4日(日)は、全国各地で海の再生や活性化に取り組んでいる高校生たちが一堂に会し、
自分たちの取り組みの報告や、今後についてを話し合う「高校生サミット」が開催された。

→高校生サミットのレポートはこちら
【全国アマモサミット2015:後編】高校生サミット

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