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Interview

インタビュー 神谷敬久さん
デザインには社会を作っていくチカラがある。

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神谷敬久さん Takahisa Kamiya
株式会社スーパープランニング 代表取締役
静岡県浜松市生まれ。
アパレルブランドに勤務後、1978年にデザインオフィス「スーパープランニング」を創業。
2001年からトートバッグの専門ブランドである「ルートート」の展開をスタート。
2004年には自由に描き表現するための真っ白なトート「トート・アズ・キャンバス」で、
GOOD DESIGN AWARDを受賞。

URL http://ROOTOTE.jp/

―あなたにとって、海はどんな存在ですか?

ぼくは生まれも育ちも浜松なんです。
近くには浜名湖があって、
おじいちゃんとおばあちゃんは弁天島に住んでいました。

だから、夏は、海で泳いでいた記憶しかありません。
憧れとかではなくて、
海は、すぐそばにある楽しい空間でした。

だから、あらたまって、海を守ろう、というようなことを思ったこともありません。
ぼくにとっては、
近くにある居心地のいいものだったんですね。

居心地がいいか、楽しいかどうか、もっといえば、カッコいいかどうか。
それはとても大切なことだとぼくは思っています。

たとえば、海でバーベキューをしようと思ったら、
テーブルも椅子も、それこそ、いろいろな格好いいグッズを揃えますよね。
だけど、たぶん、ゴミ箱のことまでは考えません。
テーブルの端に、テープで、ゴミ袋をとめるぐらいじゃないでしょうか。

もしくは、雑誌を眺めていて、海のページがありますよね。
洋服や水着は紹介されていても、
そこには、たぶん、ゴミ箱は写っていません。
絵にならないんですね。
言い換えれば、絵になるゴミ箱があれば、新しいカルチャーが生まれます。

それがデザインの価値です。

海が似合うオシャレなゴミ箱がひとつあるだけで、
ポイ捨ては、
きっと、なくなるって思うんです。

デザインには、社会を作っていくチカラがあると思うんです。

 

子どもの頃こそ海にどっぷりのぼくでしたが、
大人になってからは、アパレルの会社で働き始めました。
仕事は販売促進でした。
だけど、自分でデザインがしたくなって、27歳のときに独立しました。

はじめは、クライアントのためのデザインを作って、コピーを書いて、グッズを作って。
そのうちに自分たちでもの作りを始めて、そして、販売促進も、営業もしました。

それこそあらゆるものを作っていましたが、
2001年に、作るものを、ひとつに絞ることにしたんですね。

トートバッグです。

ぼくたちのトートバッグには、カンガルーのおなかのようなポケットがサイドに付いています。
カンガルーのおなかのようなポケットがついたトートバッグ。
それで、「ルートート」というブランドの名前にしました。

トートバッグに絞ったら、ハッキリと見えてきたことがあるんです。
どういうことかというと、
トートバッグはメディアなんだということです。
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2003年に「トート・アズ・キャンバス」というプロダクトを発表しました。

ひとりひとりがメッセージを主張できて、気軽に持ち歩くこともできること。
ぼくは、それが、トートバッグの魅力だと思っています。

「トート・アズ・キャンバス」は、ただの、真っ白なトートバッグなんですが、
一緒に、1本、鉛筆が付いています。
購入した方、それぞれが、絵を描いて完成するんです。
もちろん言葉を書いたっていいんです。
みんなで絵や言葉を描いて持ち歩けば、街の中が、ギャラリーになりますよね。

ひとりひとりの想いが加わって完成する世界にひとつのメディア。
「トート・アズ・キャンバス」を作ってから、思いました。
ぼくたちは、デザインのチカラで、世の中を、もっと楽しくしたいんだということです。

―あなたにできること

ぼくたちは、バーベキューに持っていきたくなるような、
もしくは、雑誌の海のページに載っていても絵になるようなゴミ箱を作りました。
「ルー・ガービッジ」というトート型のダストボックスです。
とてもシンプルなんですが、
軽くて折り畳みが出来て、開くと、地面に立つようになっています。
バッグの中にはボタンがあって、
そこに、ゴミ袋を簡単にセットできるようになっています。

ゴミ拾いルーガービッジ のコピー
<写真提供>公益財団法人かながわ海岸美化財団

ぼくたちのブランドのコンセプトは「楽しいお出かけ」です。

海に浮き輪を持っていくみたいに、
ゴミ箱を持っていくことにワクワクできればいいなと思ったんです。

ぼくたちのデザインが、笑顔を生んで、その笑顔が広がっていくとしたら、
それ以上の幸せはありません。
その笑顔が、海をキレイにするチカラだと信じています。